誰にでも優しい上司に困惑




『……っ、た……っ、大智…さん』



いざ言葉に出そうとすれば
なかなか出ない
言葉ではない、目が熱くなるのがわかる



だめ、泣いたらだめ。
そう思っても、なかなか言う事を聞いてくれない




目をぎゅっと瞑り
泣かないようにしていた



コトッと、音がした
大智さんがテーブルにカップを置いた音だろう


けど、私は目をつぶり下を向いたまま
大智さんを見ることすらできないでいた




「凛さん」


大智さんの声が耳元で聞こえた
大智さんに……抱きしめられている



「大丈夫だよ、何があっても俺は凛さんのそばにいるし、嫌いになったりしない。もちろん純也や友理も……みんな凛さんを嫌いになったりしないよ?」



大智さんの言葉に
我慢していた涙が溢れ出す


大智さんの手は私の頭を撫ぜる
まるで子供をあやすように……




「全部……話して。凛さんの抱えてる物、全て。……俺が受け止めてあげる」



大智さんの言葉はとてもとても優しくて
私は泣きながら、大智さんに松川さんのこと、篠原さんに言われた事を話した