誰にでも優しい上司に困惑




「ちょっと買いすぎたかな?」



友理ちゃんもなんだかんだ
手にはたくさんの紙袋



『かも、けど久しぶりに買い物できて楽しかったー』



私も、と私達の足取りは軽い
私達は駐車場へと向かった



荷物を車に積んでいた時だった
私が後部座席のドアを閉めた時
私の視線にある人をとらえた



「こんにちは、凛花ちゃん」


その人はとても嬉しそうに笑っている
その笑みがかなり不気味に見えた



『……こんに…ち、は』


「久しぶりだねー、元気にしてた?」


何事も無かったかのように
私に話しかけてくる

そして、少しずつ近づいてくるのがわかる



『……は、い。あの、失礼します』



早くこの場から離れないと……
この人から逃げないと、
私の身体は危険信号をあげていた


黙って見ていた友理ちゃんは
運転変わるね、と言ってくれた


車に乗ろうとした時
彼の口から意外な言葉が発せられた



「……松川…智さん」



その言葉に私の動きが止まった
どうして彼が松川さんの名前を知っているのか、わからない