誰にでも優しい上司に困惑




『はい、片桐自動車です』



いつものように業務をこなしていた



「凛さん、俺。」


『お疲れ様です、大智さん』


「凛さん、スマホの電源切ってるの?何度かけても繋がらないよー?」


『あっ、すみません……調子悪くて…』


なんだ、と納得してくれた大智さん
調子悪くない
ただ、松川さんからの連絡を取りたくないだけだ

それなら着信拒否すればいいんじゃないか


そうしよう、それがいい



「……凛さん、聞いてる?」


そんなことを考えていたら
大智さんの声に我に返った


『えっ?ごめんなさい、もう一度お願いします』



大智さんは部品の発注と見積りの作成を依頼してきた


「それと、今夜から忙しくなるから」


詳しい話は帰りに…と電話を切った
何が忙しくなるだろうか……

大智さんが忙しくなるのは
私に関係があるの?

晩御飯とか?帰り時間とか?
……まったくわからない


まぁ、帰りに話してくれるなら
それまで待とう、と
その時は他人事のように考えていた