誰にでも優しい上司に困惑




朝、着信音で目が覚めた
こんな時間に誰だよ、と思い
手探りでスマホを探し、画面を確認した



おはよう、凛花
今日も待っている



松川さんからだった

何事も無かったかのように
メールをしてくる松川さんに



【もう会いません】


そう返信し、スマホの電源を切った
返信が来ても困る
電話が来ても……困る


部屋から出ると珍しく
大智さんが起きていた



「おはよう、凛さん」


『おはようござい…ます、私もしかして寝坊しました?』


いつも私がしている朝食の支度
お弁当作りを大智さんがやっている
しかも、エプロンをして……



「ううん、たまにね。いつも凛さんが作ってくれてるからさ」


ニコニコしながらお弁当にオカズを詰めている姿をみると、なんだかホッとする



『お昼、楽しみっ』


そう笑うと、大智さんも笑ってくれた
昨日の事が嘘のようだ


大智さんは気がついていないのか
私の唇のことを言ってこない

それなら、それでいい
心配かけたくないから
いつものようにしていよう…