誰にでも優しい上司に困惑




ワインを一口飲んで、私を見る松川さん
その目はとても冷たい目をしていた



「一緒に暮らしてるんだ」
「彼には話してないんだろう?」



なんだか私の知っている松川さんではない気がして、はい、と返事をしただけ



松川さんが最後の一口、ワインを飲み干すと、行こうか、と席を立つ



私も慌てて席を立つ
時計を見れば10時前
この時間ならまだ大智さんも帰ってきてない
連絡しなくても大丈夫だと思った



松川さんを追い、エレベーターに乗り込む
私はそのまま1階に降りて帰るつもりでいたが、エレベーターが止まったのはホテル室が並ぶ6階だった


松川さんが降りると思い
今日の食事のお礼を言おうとしたら
手首を掴まれ、引っ張られた



『えっ、待ってっ!ま、松川さんっ!』



そう呼んでも、掴まれた手首を外そうとしても、何も反応してくれない
ガッシリ掴まれた手首が痛い



ガチャ、とホテルの一室が開き
私は引っ張られる形で部屋に入らされた


その勢いで、ベットへと投げられた