なんとか、うん、と言え
ようやく大智さんの身体が離れていく
と、思ったら
ちゅっ、と唇に触れた
驚いて大智さんを見上げると
何事もなかったかのように
「いってきます」
そう言って、大智さんは出て行った
私はあまりにも驚いて口元を手で覆い
大智さんの背中を見送るしかできなかった
バタン、とドアが閉まると
私はヘナヘナと床に座り込む
……もしかして
大智さん、私にキスをした?
自分の唇を指で触れた
数分前のことを思い出す
身体がカーっと熱くなるのがわかった
ど、ど、どうして?
な、なにがどうなってるの?
やっぱり最近の大智さんは変だ
やっぱり、ちゃんと聞かなきゃわかんない
……いや、聞いていいの?
聞いて「別に」「なんとなく」みたいな返事を返される可能性だってある
だって、私達は恋人のふりをしているだけ
一緒に暮らしてるのだって
同棲じゃない、同居だ
なにを期待してるんだ、私っ
ない、ない
だって、女なら誰にでもいい顔する大智さんだよ?
簡単に彼女と別れちゃう人だよ?
私のタイプじゃないんだから……

