誰にでも優しい上司に困惑



出掛けるの?


ジャケットを羽織りながら
大智さんが私に聞いてきた



『ええ、前の会社の方と……食事に』


なんとなく言いたくない気分



「大丈夫?帰り迎えに行こうか?」



優しい言葉は嬉しい限りだが
大智さんもお友達と飲むはずだ


『大丈夫ですよ!タクシーで帰ってきますから、連絡します』


まだ篠原さんの事を気にしているんだろう
最近全く私の前に現れなかったから
警戒心が薄れてきたってのはある


大智さんもだろうけど
それでも同居を解消しないのは
まだ心配だからだろう



私も着替えようと自室へ行こうと
大智さんの横を通った……ら、




……へ?
な、なに?




「俺がいること…忘れんなよ」



そう耳元で聞こえる
何が何だか……さっぱりわからない
こんなことは二度目だろう
けど、慣れるなんて出来ない


自分の鼓動だろう、音が聞こえる


「…聞いてる?」


大智さんの声がとっても心地よい
けど、いつもの声じゃないのはわかる