誰にでも優しい上司に困惑



「あれ?大智のやつ、彼女いたのか?」


えっ?
私も驚いてしまう
けど一緒に暮らしているわけじゃないから、ただ知らないのかもしれない



「いや、ね。心配だからさ。当分……彼が諦めつくまで、彼氏のふりでもしてもらったらいいんじゃない?護衛とでも思ってさ。だって、彼…諦めたわけじゃないみたいな言い方だったんでしょ?」


彼氏のふり?
何ていう提案だ…


『……ありがたいですが、大智さんに迷惑がかかっちゃうから……』


大丈夫ですよ?、と言うつもりだった


「いいよ、俺は」


そう会話に割り込んできたのは大智さん


「おう、大智か。なら話が早い!」


え?……ちょっと……
待ってよ……だって……


そう口を挟もうとするけど
なかなか挟めれない

社長と大智さんで勝手に話を進めてしまう


まさか、まさか……


「じゃ、そういうことで……」


大智さんは社長室を出て行った


……はっ!
私は大智さんの後を追いかけた



『た、大智さん!待ってくださいっ!』


大智さんが足を止めてくれたのは
工場に入る手前の部品室