少し休憩しようかと
簡易キッチンへコーヒーを淹れていた
「神坂さーん」
私を呼ぶ声……これは社長だ
『コーヒー淹れますね』
頼むー、と返事があった
多分、昨日の話だろう
そう思い、カップを持ち
囲われている社長室に入った
……と、入るとき
大智さんが事務所に帰ってきたのが見えた
『社長、コーヒーおきますね』
そう言ってコーヒーを置き
社長の机を挟んだ向かいの椅子に座る
「話はきいたよ?大丈夫?あまりしつこいなら、あそこの社長に言っとくよ?」
大智さんと同じ事を言う社長にちょっと笑ってしまった
社長は、なに?と首を傾げていた
『いえ、大智さんと同じ事を言うんで、さすが親子だなって……。大丈夫です。今のところは……、確かに偶然が何度も重なって、気持ち悪く思いましたが危害を加えられたわけじゃないし……』
危害っていう危害じゃない
ただしつこかったり、腕を掴まれたり…
「神坂さん、彼氏とかいるの?大智が「俺の女」って言ったんだろ?」
あー、確かに……
『いませんよ。けど大智さんに迷惑かけちゃいますね、彼女さんが知ったら喧嘩にならないか不安です』
どこでどう話が広まっていくか
そんなのわからない

