誰にでも優しい上司に困惑




「凛花は優しいから、それに漬け込んだんだ……、けどそれも終わりだ」



これでさよならだ
彼と幸せに……、



そう言って、松川さんは席を立った
バタン、とドアが閉まった音にハッとする


無意識に私は松川さんを追いかけた
だって、私は……
私は松川さんに何も言っていない



『まっ……松川さんっ!!』



私の呼び声に、立ち止まってくれた
振り返った松川さんは
驚いた顔をしていた


そうだろう、
私が来るなんて思わなかっただろう



『ま、松川さん……私…』
『……っ、松川さんも、お元気でっ』



本当は、ありがとうって言いたかった



松川さんは笑って、行ってしまった
松川さんが居なくなった
そこから動けないでいた


後悔ってわけではない
けど……



そんな気持ちでいたら


凛さん、と
耳元で聞こえ、身体が包まれていた




『……大智、さ、ん』


「凛さんが考え直したらどうしようかと思った……焦ったよ?」


それはないです、というと
大智さんは今日の晩ご飯なににする?と
いつもの大智さんだった