誰にでも優しい上司に困惑




店員さんがいなくなると無言だ
そして、松川さんの顔を見れていない


「……いい人、だね…、片桐さん」


『……はい、よくしてもらってます』



そして、また無言の時間か流れる




「お待たせしました」
そう言って店員さんがコーヒーを置く



置かれたコーヒーを口につける




「ブラック…飲めるようになったんだ」



松川さんの言葉に私は顔を上げた
確かに昔、一度だけ松川さんと
ここでコーヒーを飲んだことがあった


当時はブラックなんて苦くて飲めないって、ミルクと砂糖を入れて飲んだ



そのたった1回なのに……



『今の職場が、みんなブラックで……それでなんとなく慣れちゃって……』



そっか…と、松川さんもカップに口をつけた




「……凛花が……大変な思いをしてるの知らなかったよ。片桐さんに言われて初めは何かの間違いだと思っていたけど……もう一人の弁護士さんが色々説明してくれてね……。俺は何も知らなくて……彼らより凛花と付き合いが長いのに、凛花の変化すら気づけなかった」