誰にでも優しい上司に困惑




大智さんに連れられて来たのは
当時よく利用していたカフェ


大智さんは私の手を握ったまま
お店に入っていく



店内に入ると、店員さんの声はしたが
大智さんはそのままテーブル席へ向かう



「お待たせして申し訳ありません」


その言葉に、待ち人は既にいて


「いえ、今来たところです」


そう言っている
懐かしい声だ
思い出すだけで恐怖でなかったのに
大智さんがいるだけで
こんなにも平気なのかと
自分でも驚いてしまう



「凛さん、座って……」


大智さんに言われ椅子に腰を落としたが
大智さんは座ろうとしない



「凛さん、これは凛さんと松川さん二人の問題だから俺はこれ以上立ち入れない。しっかり二人で話すんだ」


大智さんの言葉に素直に頷けない

わかっていても
大智さんの手を離せないでいた



「大丈夫、すぐ近くにいる。凛さんに寂しい思いはさせない。……そうだな、帰りに何か美味しいものでも食べて帰ろう」



そう言って私の頭をポンポンする
なんだか、私が駄々をこねているみたいで恥ずかしくなる


『…わかった。終わったら連絡する』


そう言って握っていた手を離すと
大智さんは松川さんに一礼し
お店を出て行った



すぐさま店員さんが来て
コーヒーを注文した