誰にでも優しい上司に困惑




『なら、何か作っておきます』



そう言って、また業務に戻る
会社でこういう話は嫌だと
最初の頃は思っていたが
細川さんや外崎さんも、普通に
私たちの同居の話をしてくる

大智さんも普通に話してくるから
いつの間にか私も普通に話すようになってた


はぁー……
私って、こんなに流されやすかったかな?


なんだか、私じゃないみたい
またため息をつこうとしたとき



「凛さん」


大智さんの声が耳元で聞こえて
身体がビクッとしてしまった



「俺が明日いないの、寂しい?」



その言葉にギョッとした
何を言い出すんだ、この人はっ!
ここは職場だ、誰が聞いているかわからない


そう思って事務所を見渡せば誰もいない



「細川さんは銀行、外川さんは車検をお願いした、社長は納車……だから事務所には俺らだけ」



『そ、そうですかっ……ってか、近いっ』


恥ずかしさもあり、大智さんから距離を置こうとしたけど、椅子を固定されてしまい、身動きが取れない