「――俺、そろそろ限界だわ」




飛鳥の発したその言葉に、


ガンっと何かで殴られたような衝撃が頭に走った。



飛鳥を見据える視界が揺れる。



限界――?



限界って……なにそれ、どういうこと。




限界ってなに。



そう聞きたいのに、あたしの口は言うことを聞かない。



震え上がって、ただ、冷たい目をあたしに向ける飛鳥を真っ直ぐに見上げていた。



飛鳥は続けるようにして、冷たく言い放つ。



「どうせ昼だってアイツと食ったんだろ?」



アイ、ツ……?



「頭撫でられて嬉しそうにしちゃってさ……。 マジ、意味わかんねえ」



誰のこと?



頭撫でられて………って、



「あ……」



もしかして



「は、早沢君のことを言ってるの?」



あたしがそう口を開けば、

ピクリと、あたしの言葉に反応する飛鳥。



瞬間、今度はあたしを睨むように目を細めてきて。


静かに言い返してきた。




「…そ、早沢だか早瀬だかしんねえけど……なに、他の男にでれでれしてるわけ?」



「ち、違っ……!!早沢君とは話してただけで、でれでれなんてしてない!」




お昼だって、食べてない。



あれはたまたま会っただけで、すぐに別れたもん。



それに、頭を撫でられて嬉しそうになんて……あたし、してないよ。



飛鳥以外に触れられて、嬉しく思うわけないじゃない。