ふと、見上げるあたしの顔に影がかかって。
飛鳥!?って思って、その影の主を見たけれど……。
「早沢君……?」
違った。
そこにいたのは、ジャージを着た早沢君。
そう言えば、早沢君はサッカー部だったっけ?
少しだけ、汗ばんだ早沢君を
あたしが見上げたまんまでいると、
「高原?お前こんなところでなにしてんの?」
早沢君がそう聞いてきた。
「んー、飛鳥待ち。早沢君こそ、こんなところでなにしてんの?」
「俺?俺は部活の昼練。 向こうにある新しいボールの空気入れ持ってこようとしたとこ。 今使ってんの、なんか調子悪くてさー」
「へー」
昼でも練習してるのか……すごいな。
感心しながら顔を正面に向ける。
少しだけ、頭がぐわんとした。
「隣いい?」
早沢君があたしの隣を指差してそういった。
まあ、飛鳥、まだ来てないし……断るのも変だから
「うんいいよ」
いいよね?
少しだけ端によって、「どうぞ」と早沢君をまねいた。

