数日後、颯の予言通り、愛とも、蛍とも、葵とも、無事元の関係に戻った。「ゴメン」と、皆素直に謝ってくれたのだ。

「あっ、来た…!」

そしてまた、あの花道を颯が通る。しかしいつもと違うのは…その横に、私と愛と蛍と葵の四人がいるということだ。

「ねぇ、見て…!」
「嘘っ、颯先輩、彼女いたの…?」
「馬鹿、彼女が四人もいるわけないでしょ。多分誰かが本命で、あとの三人はその誰かの友達だって」
「そうだとしたら…じゃあ、その本命って誰…?」
「さぁ…?」

いつもの黄色い歓声の中に、ざわつきが混じる。

「ね? 大丈夫でしょ?」
「いやいや、これ大丈夫なのかな…?」
「まぁ、恨むような声は聞こえてこないしいいんじゃない?」
「一歩リード、かな…?」

不安になって、颯の顔を見てみる。

「前にも言っただろ、乙女心は俺には分からないって。もしかしたら、知らず知らずのうちに俺に近づいている誰かがいるかもしれない」
「でも…連絡先知ってるのは、私達四人だけでしょ? 他の人達は聞いて来ないみたいだし」

颯はやはり涼しい顔をして、花道を歩いていた。

そして、放課後。

「じゃあね、また明日~」
「バイバ~イ」

駅で別れると、私は颯と二人きりになる。それからの時間は私にとって、気づかないうちに「至福の時間」になっていた。