明日は大学で得た親友の香奈と武田君の結婚式の日だ。
私はふたりの結婚式に参加するため高松から飛行機で羽田に向かった。


「里沙、来てくれてホントありがと。後でイツキも来るから3人で飲もうよ」

香奈ははじける笑顔で私に駆け寄ってきた。

「まったく、せっかくのゴールデンウイークに東京まで呼びつけて。その分、しっかり奢っていただきますからね。でも、香奈、本当におめでとう」

私も笑顔で応えた。

「今日、武田君は仕事?」

「いんや、なんやら同僚の先生方に前夜祭だって言われて連れてかれちゃったのよ」

相変わらずクルクルと表情豊かに香奈は言った。

「香奈、髪型ずっとショートのままなの?」

「うん、イツキがこの髪型が好きだ好きだってウルサいんでね」

香奈は照れくさそうに答えた。

「あ~ら、見せつけるわね。ん?あれ武田君じゃない?」

人ごみの中頭ひとつ飛び出した武田君がキョロキョロしている。

「イツキー、こっちこっち」

香奈が武田君に向かい手を振った。
彼は私達を認めたようで、笑みをこぼしながら駆け寄ってきた。

「里沙さん、来てくださってホントありがとう。すみません、ボクが遅くなっちゃって」

武田君は高い頭をぺこりと下げて微笑んだ。

「武田君、おめでとう。香奈を幸せにしてあげてね」

「ありがとうございます」

彼はそう言って、彼の高い鼻を照れくさそうに指でこすった。

「そうだ香奈さん、お義父さんからこれ預かってきましたよ」

武田君は香奈に封筒を渡した。

「ん?なんだコレ?ありゃ、ギフト券じゃない。ラッキー、これでいいもの食えるわね」

そう言って香奈はイタズラっぽく笑った。

「あら?武田君、未だに『香奈さん』なんて呼んでるのね」

「ハハハ、なんかもうクセみたいなもんで、それに『香奈』なんて呼び捨てにするの怖いしネ」

彼は香奈をチラリと見やって言った。

「聞こえたよ、イツキ、せっかく奢ってやろうとしたのに、アンタは自腹ね」