朝になり目覚めた時、この腕の中に香奈さんがいることに、ボクはとてつもない幸せを感じていた。
この幸せが永遠に続くのであれば、今まで信じていなかった神にも一生祈り続けることができるだろう。
腕の中の香奈さんが目を覚ました。

「おはよう、イツキ」

眩しそうに微笑む彼女は言った。

「フフッ、またイツキより年上になっちゃったね。だから生意気な口きいちゃダメだかんね」

「香奈さん、おはようございます。改めて誕生日おめでとう」

ボクも微笑み返して言った。

「さあて、今日はイツキに色々プレゼント買ってもらおうっと。あと、ご飯もね」

彼女はベッドから降りて服を身につけ始めた。

「あれ?何もいらないって、夕べ言ってなかった?」

「ふふん、やっぱりね、アレはアレでコレはコレね」

楽しそうに笑顔を見せる香奈さんを、朝日の柔らかい光が包む。
その光景はなんとも言えず、ボクを幸せにしてくれた。

「ハハハ、なんとも、ねぇ」

「イツキ、なんとも、なんだい?」

彼女はシャワーを浴びてくるといって部屋から出て行った。

ボクはひとりベッドの上で夕べのこと、そしてこれからのことに思いを巡らせた。
部屋には先ほど香奈さんを包み込んでいた、朝の柔らかな日差しだけが残されている。

それは、とても心地よい優しい光だった。

きっと、ボクと彼女の明日もこの心地よい光のようになるだろう。
だって、約束したんだから。
明日の君と明日のボクはずっと一緒だって。