Indifference






ふと気が付いたとき、視界いっぱいを覆い尽くす赤に驚いて顔を上げ、目の前に広がる光景に思わず感嘆の声を漏らした。



紅葉の雨だ。



長く長く伸びる並木道を両側から囲い込むように生えている木々から、赤く赤く色付いた葉が雨の如く降り注ぐ。


もはや水蒸気から成った雨が降っているのか、紅葉の雨が降っているのかも分からない。



ばらばらばらばら。



地に落ちた一枚一枚の葉は薄く、片足で軽く踏んだだけでもピリピリと破けてしまいそうに脆い。


しかしそれとは対照的に、枝から離れて宙を舞い、傘に当たって落ちていく葉はずっしりとした重みを感じる。



そしてぱっと見たときは鮮やかな赤だと認識した紅葉の葉は、赤茶色の絨毯と成り足下に広がっている。



不思議なことだ。



学校からの帰り道に、こんなに長い並木道が続いているだなんて知らなかった。



私は放課後になるといつも真っ直ぐに最寄り駅に直行するけれど、これからは少し遠回りをして帰ってみるのも良いのかもしれない。