「そうだっけな。悪かった」
「わかってくれればいいですけどっ」
颯の笑顔は最後には私の機嫌を治してくれるんだから、やっぱ恋の力ってすごいなと思う。
無意識だろうけど颯は私の扱い方がうまい。
ちょっと遊ばれてるような気もするけど。
あ、部活といえば颯も陸上やってるんだっけ。
「そういえば、颯って陸上部なんだって?」
思い出したように私は言う。
「なんで知って……」
??
「えっと、石橋さんが言ってたから」
「……あぁ、まあ」
歯切れの悪い答え方をする颯。
聞いちゃまずかったのかな。
でも、気を取り直して話を続けた。
「それに足もかなり速いんでしょ?」
「あぁ」
短いものの私の話に颯は相槌を打ってくれた。