額の汗と細い手足に程よく筋肉がついていて、練習量の多さと頑張りが伝わってくる。
だってウチの陸上部全体的にみんな強いって理乃が言ってたし。
努力は裏切らないって事か。
「あのさ……」
石橋さんは顔を歪め歯切れが悪そうに言い出した。
「なに?」
ちょっと不安だったけど意を決して聞いてみる。
私が真剣に見てくるから石橋さんも決心したようだ。
「この前話したことなんだけど……」
「この前?」
この前って何話したっけ?
「永瀬くんを部活に誘ってほしいって話」
「あ……」
そうだ。頼まれていたんだった。
すっかりその事忘れてたよ。
「実はまだ……」
「そっか」



