もしかしたら、傍から見れば私たちはつまらなそうに見えるかもしれない。
でもこんな風に穏やかな時間を過ごせることって滅多にないし。
私は一緒にいられればそれだけで十分だった。
「そう言えばあのジンクス知ってる?」
「……何それ」
ふと話しだした私に目はつぶったままだったけれど答えてくれる。
まあ、いつものようにつまらないと思って聞き流されそうだけど。
なんてちょっと心配になりつつも、話したくてウズウズしてるのを今更止めることはできない。
「あのね、体育祭にジンクスがあるんだって」
それは私が学校の事全てに詳しい新聞部の子から聞いた話……
――……体育祭の借り物競争で引いた紙に書いてある内容で一枚だけ『あなたの欲しいもの』っていうのがある。
それを引いた人は、自分が今好きな人を連れて1位でゴールすれば絶対付き合えるらしい。
カップルなら長続きするとか。
「その借り物競争って全校男子の?」
おっ。
もしかして興味示してくれてる?



