「えー、色ごとに一年から並びなさい」


先生が大きな声でみんなを促す。



あ、颯。


右の方に目をやると颯がこちらに歩いてくる。

もうあの子と話し終わったのかな。


颯も私に気づいたのか目が合った。



「莉子って足速かったんだな」


私の傍まで来ると意外とでもいうように見てくる。


『莉子』って呼ばれたの初めてかも。

さっき私も『颯』って言ったからかな。


なんか嬉しいなぁ。




「どうした?顔赤い」


「へ?」



颯の声で我に返る。



「また眠くでもなったのか?」


颯がクスッと笑う。



「そんなんじゃなーい‼」


私の叫びでみんなの視線が一気に集中した。