「永瀬もリレーの選手なんでしょー?」
早く出ていかないかなと思いながら洋式のトイレに座って待っていると、その言葉に全神経が集中する。
「うちらラッキーだよね。一緒にリレー出れるなんてさ」
「これで話せるきっかけも作れるしね」
笑いながらトイレを後にする彼女たちがいなくなってからも、なぜか私はすぐにそこから一歩も動くことはできなかった。
しばらくして私は気を取り直して運動場に向かった。
歩きながら彼女たちの話を思い出す。
知らなかった。颯って結構モテるんだ。
そうだよね、あんなにカッコいいのにモテない方が変だよ。
はぁ、ライバルが多そう……。
練習前だと言うのに上げたテンションも今では一気に下がっていた。
いけない、いけない。今はリレーに集中しないと!
私は集まりだしている人込みの中に混じった。



