その後も石橋さんは親切に颯の事を教えてくれた。


短距離が専門で毎回県大会で優勝するほど。

でも、部活には大会時以外はほとんど来ないこと。


どれも私が知らないことばかりで、ちょつぴり寂しかった。


あんな風に話せても結局私は颯にとってただのクラスメートで。

さっきまで近いと感じていた距離も今は遠く感じる。



「私じゃ誘ってもダメで。よかったら森崎さんからも言ってみてもらえない?」


「えっ?何で私?」


頼まれた理由がわからず聞き返す。



「屋上に一緒にいるの偶然見かけたから」



ちょっと気まずそうに話す石橋さん。

見られてたんだ。



「あ、あれは別に!」


「そう?永瀬くんが女子と話すことって滅多にないんだけどな」



あまりにも慌てて否定している私が可笑しかったのか、石橋さんの表情が幾分か和らいだ。