「どうした森崎?質問か?」
「い、いえ。何でもないです」
注目の的で恥ずかしくなりすぐに座りなおした。
みんなもまた授業に集中し始める。
……でもただ一人だけ、隣の颯だけはみんなに気づかれないように笑っていた。
それが何だか悔しくて私はノートの隅にペンを走らせる。
【そんなに笑わなくても】
【わりぃ】
笑いを必死で堪えながら私の文にまた書いて答える。
むぅ~
【拗ねんなよ】
私がムスッとしてしまったのをみてすかさず書いて見せた。
キーンコーンカーンコーン
その時丁度チャイムがなった。
教室が騒めき、先生も一声かけて教室を出ていく。
「悪かった」
隣を見れば、椅子の背もたれに重心をかけてこっちを見ずにシャーペンをクルクル回す颯。



