「颯の事考えると胸がキュンとしたり苦しくなったり。こんな事今までなかった」
理乃は黙って聞いている。
「いろんな事考えちゃって颯ともまともに話せなくなっちゃって、どうしたらいいかもわからなくて……」
「…………」
「…………」
しばらく二人の間に沈黙が訪れた。
下を向いていると大きな手に包まれる。
顔を上げれば優しく見つめる理乃。
私の手を包んでくれる両手は温かかった。
「焦らなくていいんだよ。
今の自分の気持ちに正直に生きてみれば自ずとどうすべきかわかってくる。自分の気持ちも見えてくるはずだよ?」
「……理乃」
自分に正直に……か。
なんかそう考えたら気持ちが楽になってきたかも。
今すぐに答えを出さなくてもきっと見つかる。
いろんな気持ちに戸惑うけどやっぱり話せないとかイヤだもん。
理乃に相談してよかった。



