キミの一番になりたい

 
今度こそ本当にキミを捕まえる事ができたんだ。





「泣くなよ」


「……っだってぇ~」



困ったように流れる涙を拭ってくれる。


その手がすごく温かい。





「莉子」


「ふぇ?……っん……」



顎を持ち上げられ視線が合うと、颯は口の端を上げて笑っていた。




重なる唇。


吐息さえも奪われて私はギュッと颯の服を掴む。




苦しいけど、甘い甘い彼の味。



求めて求められて堕ちていく。


もうこの人じゃないとダメなんだ。







キミの一番になりたい、という願いが叶って。




これからはずっと、



キミと一緒に歩いていきたい。


キミの傍で笑っていたい。





離さないで。


ずっと抱きしめていて。








離れていた時間を埋めるように抱き合う私たちの頭上には、



あの日の夕焼け空が優しく見守っているようだった。








―END―