お互い微妙な沈黙が続く。
「そっか……」
沈黙を破ったのはやっぱり颯で、颯は申し訳なさそうに目を伏せる。
春の風が二人の髪を揺らした。
「……俺は莉子と離れ離れになるってわかってて無責任に告白する事はできなかった。そんな資格もないし、第一莉子は俺の事もう好きじゃないかもって思った。だけど……」
私に一歩一歩近づいてくる颯をただ見つめる。
その瞳をそらせない。
「いなくなって気がついた。俺、莉子がいないとダメだ。
俺が嫌いでもいい。でも気持ちだけは伝えたかった。
……俺、莉子が好きだ。
今も、これからもずっと」
……そんなの殺し文句だよ。
暴れそうな心臓をギュッと握る。
体が熱い。
なんか泣いちゃいそう。
颯はそっと頬に触れようとするけどギリギリの所で手を止める。
律儀なんだから。
そんなトコにちょっぴり笑えた。



