「二人が別れた事、私知ってたの」
目を見開く颯を見て私は続けた。
「真穂さんが連絡くれて、全部教えてくれた。
DVの事も、それで颯とヨリを戻した事も」
私はあの時の、真穂さんの言葉を思い出していた……
『どうして私にその事を?』
『二人にはもう一度向き合ってほしい。自分を偽って私と一緒にいてほしくないの』
『そんなことない!颯は真穂さんが好きです。じゃなかったら別れるなんて言わない』
『ありがとう。でももう私は大丈夫。
だからきちんと颯と話して?颯にはあなたが必要なの。お願い……――』
声だけで真穂さんの辛そうな表情が想像できた。
どんな気持ちで私に連絡してくれたのか。
どのくらい颯の事を思っているのかすごく伝わってきて。
だからこそ自分自身の中で整理ができずに悩んだ日もあった。
私だけが悩んでいたわけじゃなくて、皆辛い思いをしていたんだって。



