いつもここで一緒に過ごしたよね。
フェンスに掴まりながら一つ一つ記憶を辿ってく。
元彼から助けてもらった事。
怪我の手当てをしてくれた事。
四人で遊園地に行った事。
テスト勉強を手伝って看病しに行った事。
デートした事。
そして、
別れた事。
辛かった事も多いけど颯からはたくさんの優しさを貰った。
今でも屋上にいると幸せだった時間が蘇るんだ。
私は鞄から茶色でよれよれになった紙ヒコーキを取り出す。
……懐かしいな。
それは颯に会う前、最初に拾った紙ヒコーキ。
それはずっと机の引き出しに眠っていた。
やっぱり一番の思い出は『これ』。
これがなかったら私はここで颯に出逢わなかったかもしれない。



