じめじめとした暑さや雨が続いた梅雨も終わり、制服も半袖に切り替わるこの頃。


季節はいよいよ夏を迎えようとしていた。





雲一つない青空の下で走る生徒たち。


開け放たれた窓からは葉の揺れ動く音と共に涼しげな風が頬を冷ます。




黒板を見てはノートに書き写し、いやに熱が入る教師の話を真剣に聞くクラスメイト。


私も例外ではなくわかりやすいように色ペンを使いながら覚えようとしていた。









あれから四ヶ月。


三年生になった私たちは今、受験という大きな山場を向かえている。



部活もほとんどが引退をし、自らの将来に向かって歩きだしていた。





……颯とは、あれから一度も話していない。


避けているわけではないけれど、お互い話す事がないだけ。




席も離れた今、昔の関係に戻っただけのような気がする。


紙ヒコーキを手にする前までに。