「だからもっと知りたい。俺の知らない莉子を」



真っすぐ射ぬくような瞳に私も目が逸らせない。



私も知りたいよ。


もっともっと他の誰よりも。




「あ……」

「ちょっとー、私の存在無視しないでくれる?」


「「……ッ!?」」



見つめ合っていた二人の間を誰かの手が遮る。


それにハッとして現実に引き戻された。




「あ、理乃、ごめん!」


「まぁ、別にいいですけど」



ちょっとばかり不貞腐れて頬を膨らませる。


宥めるの大変かも。




「……俺、部長のトコ行ってくる」



そう言って颯は席を立ってしまった。



でも去り際にチラッと私を見た。


その瞳は目の届く所にいろよ、って言ってる。



私は黙って頷いて見送った。