「俺、嶋谷にバレンタインデーの日に告られたんだ」
「えぇっ!?」
理乃ってばいつの間に!
そんな素振り見せないから全然気がつかなかったよ。
「でも俺、まだ莉子のこと好きだったから断ったんだ。こんな中途半端な気持ちのままOKなんてできない」
「あ……」
なんか気まずくなって圭太から視線を逸らした。
圭太はずっと私のことを想ってくれていたんだ。
人の気持ちなんてすぐに変えることなんてできない。
だから理乃のことを応援するために理乃と付き合いなよ、なんて無神経なコトも言えない。
でも、理乃の様子が変なのは本当にそれが原因なんだろうか?
バレンタインから日にちも経っているし、それだけじゃないような……
「で、理乃はなんて?」
「理由聞かれたから、好きな奴が忘れられないって言った」
「……ごめん」
「俺のことは気にすんな。想うだけなら自由だろ?諦め悪い男でごめんな」
「ううん」
いつまでも変わらなく優しい圭太に心が少しだけ軽くなった。



