「どうしたんだよ?悩み事か?」
「う、うん。ちょっと理乃の事で……」
「嶋谷……」
私の変化に気づいた圭太が心配してくれている。
変わってないな。
私も圭太に聞かれるとつい相談したくなっちゃうんだよね。
「け、いた?」
でも見上げた顔は苦し気に歪んでいた。
「……その事で話があるんだ」
いつになく真剣な圭太。
理乃の悩みはやっぱり圭太との事だったんだ。
とにかく私も黙って跡を追った。
「……嶋谷、何か言ってた?」
「ううん、具体的には聞いてはいないの」
「そっか」
生徒の出入りが少ない化学室まで来た私たち。
真っ暗だし湿っぽい。
締め切られていたカーテンを開けると圭太は話し始めた。



