「んー、ちょっとね。気持ちの整理がついたらちゃんと話すから」
それ以上理乃が何か言うわけでもなく、チャイムによって自分の席に行ってしまった。
前にもこんな事あったな。
あの時も圭太と何かあったみたいだけど自分で何とか解決したようだった。
相談してほしいけど私からは聞けないよ。
自分で解決しようとしているのに、私が無理に詮索しちゃいけないような気がして。
でも心配だから。
このままじゃいけない気がするから。
思い当たる節が圭太しかないので、とにかく圭太と話をする事を決めて席に着いた。
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「よっ、久しぶり」
「圭太!」
理乃のことを考えながら悶々と廊下を歩いていると、懐かしい声が私の耳に届いた。
圭太とはあの駅で会った以来話していなかったし会うこともなかったけれど。
次に会った時に普通どおりに話せるカナとか無駄な心配だったみたい。
笑顔で話しかけてくる圭太に安堵した。
探す手間も省けたし。



