「……送別会?」
「そうっ!良かったら森崎さんも来ない?」
冷え症の私は卒業式の練習が終わるや否や、暖房がきいている教室に帰ってきた。
暖かさに顔が緩み始めた時に、石橋さんから声をかけられたんだ。
「でも陸上部の送別会に私が行ってもいいの?」
「大丈夫! 毎年ウチはオープンなの。大人数で楽しもうって感じで。
それで男子の先輩に女子いっぱい呼べって言われたのよ」
そう言って苦笑いする石橋さん。
二年が幹事だから大宴会ともなれば準備にも一苦労だろう。
バレー部の方はというと、引退した時に開いたのでこれと言った催しはない。
暇と言えば暇なんだけど……
「どうして私を?」
「実は、永瀬クンの優勝祝いも兼てるの。陸上部に戻るように促してくれたお礼もしたいし」
「そんな……私は何も」
躊躇う私に笑顔で手を握ってくる。