春といえど完全に暖かくなったとは言えない季節。

風はまだ私たちの頬を赤く染める。



どこの高校でも卒業式の練習が始まっている今日この頃。


ウチでもそれは例外でなく、まだ白い息が出る体育館で寒さを我慢して立っていた。





あーあ。来賓祝辞とか話がすごく長いんだよね。


目次を見ながら本番の事を考えてため息がでる。



でも在校生の私たちより卒業生の方が大変だよね。


それに卒業したら皆とも別れちゃうから辛いだろうな。




目の前のお世話になった先輩たちを見て、自分も来年はあそこにいるんだと考えさせられる。


卒業か……







「はぁ。この話長過ぎなんですけど」



隣にいた理乃がボソッと呟いた。


今は校長の話。

本番通りに話しているらしい。



理乃ってば私と同じコト考えてる。


少なくとも私たちを含めここにいる半数はそんなことを考えているだろう。



それが何だか可笑しかった。