ええぃっ!仕方ない!
「こ、これっ!受け取って?」
これで誤魔化せるとは思ってはいない。
けど、考えがまとまらずとにかく今私がしなくちゃいけないことを実行した。
紙袋からラッピングに包まれた箱を取り出し颯に差し出す。
茶色の箱に丁寧に結んである赤いリボン。
颯はすごくびっくりしているようだった。
「待たせてごめん、ね?これ私からのバレンタイン」
「…………」
「颯?」
「あ、あぁ。さんきゅ」
私の声に我に返った颯がチョコを受け取る。
あまりにもジーッと見てるから恥ずかしくなってしまう。
「不味かったら捨てちゃっていいからね」
「バーカ」
そう言って私の頭をクシャクシャに撫でる。
いつも颯が私が落ち込んだ時にしてくれる仕草。



