坂野さんは悔しそうに下を向いている。
颯は私たちを黙って見ていた。
「坂野さん……颯とちゃんと向き合ってみれば?
支えるだけじゃなくて、あなたの思いを伝えることも大事だと思う」
「今さら無理よ」
「そんなことない!」
その言葉に初めてお互いの目が合い、坂野さんの瞳は揺れている。
その瞳をしっかりと見つめながら、私は坂野さんに近づく。
「想いは言葉にしなきゃ。前には進めないよ?」
坂野さんの手をそっと握る。
「私のことムカつかないの?」
「先に告白したからおあいこ」
「……変な子」
「大きなお世話。……ほらっ!」
私が坂野さんの背中を押すと、颯と坂野さんは向かい合うようにして立った。
私はそばで二人を見守る。



