この声、この手、この香り……
そっと手が離れて後ろにいた颯と目が合う。
流れる涙をそっと拭ってくれた。
「颯っ!」
「美弥子、いくら幼なじみでも怒るぞ」
「でも……‼」
いつもと違う雰囲気を坂野さんに向ける颯に、坂野さんも口をつぐむ。
しっかりと抱き締められている颯の腕の中から、私は坂野さんへ訴えた。
「坂野さんは子供の頃から颯と一緒だった。なら私よりも有利だったはず!
汚いマネしないで正正堂堂と颯にぶつかればいいじゃない‼」
「う、うるさい!」
私の言葉に坂野さんは動揺している。
私の気持ちをわかってもらいたくて。
この人の気持ちがわかるから。
一度は振られてる、でも何度も好きだって思い知らされた。
自分が一番になれなかったとしても。
「莉子……」
「颯、少しだけ坂野さんと話させて?」
私は颯からそっと離れる。



