キミの一番になりたい

 


――……その後、颯の走りに私はくぎづけだった。


ううん、私だけじゃなく観客は皆その姿に目を奪われていたはず。




綺麗なフォーム、前だけを燐と見つめる横顔。


そして風を切り、誰よりも早くゴールする。



颯は200メートルの距離を息一つ乱していない。


うっすらと滲む汗に色気さえ感じさせた。






やっぱり早いと噂されていただけの事はあるなぁ。


少しのブランクがあっても数週間の練習でここまで取り戻せるなんて。



興奮冷めやらない気持ちを落ち着けていると颯が顔を上げて目が合った。




笑顔で勝利へのVサインを送る私に、颯は照れたようにはにかんだ。




1位通過だから次は午後の準決勝から。


早く次のレースも見たくなった。






……ん?なに?


口パクで何か言っている。



身を乗り出して繰り返される言葉を読もうとした。