はいっと言って私に座席表を手渡す。
それを見て自分の名前を指で探しているとある所で手が止まった。
「ねっ?良い席でしょ?……って莉子?」
う、うそ……。
本当にこの席なの?
指を止めた先、そこには一番後ろの席に『森崎莉子』横に『永瀬颯』と書かれてあった。
こんな偶然ってある?
夢じゃないよね?
目の前の事を信じられず座席表を見入っていると、
「莉子ッ‼!」
「へっ?な、なに!?」
「何じゃない!さっきから呼んでるのにどうしたのよ?」
眉間に皺を寄せた理乃のドアップにたじろぐ。
「ううん。ちょっとあまりにも良い席で驚いただけ」
この動揺が気づかれないようにと誤魔化した。
それが効いたのかどうかはわからないけれど、あっそと言って私が持っていた座席表を奪い取る。



