2月13日午後1時ジャスト。
私は困っていた。
ものすごーく困っていた。
「どうしよう、理乃」
「何よ?」
こっちも見ずにあしらっている理乃を勢い良く掴み、訴えながら前後に揺さ振る。
「忘れてたの!」
「だ、だから何を?」
「バレンタインをだよ‼」
やっとこっちを見てくれた理乃に、私はすごい形相で迫った。
よく考えれば、最近の女子は本を開いてあれこれ騒いでいた気がする。
男子は男子でいつもより妙に気が入っていて、普段つけない香水をつけている奴もいた。
理乃は事のしだいを理解して私の肩をポンポンと叩く。
「何だそんなこと。それは莉子が悪い」
「だって最近忙しかったんだもん!」