それに気づいて颯を見つめる。


颯も私の目を真っすぐに見て口を開いた。




「俺さ、陸上部に出ることにした」


「ほんと!?」


「あぁ。今まで中途半端だったからこれからは毎日練習に励もうと思ってる」



そっか、陸上やる気になってくれたんだ。


なんだか自分のことのように嬉しいな。




「おめでとう‼応援してるからね」



精一杯の笑顔で復帰を祝った。



「莉子の、おかげなんだ」



へ?私?


意外な理由に目をぱちくりさせる。



「莉子がいてくれたから過去を吹っ切ることができた」


「そんな、私は何もしてないよ」


「でも俺は感謝してる」



そう言って私の右手を力強く握った。


今までの出来事が走馬灯のように私の頭の中で流れてく。