「ほら、あっち行こうぜ」
「やだっ‼」
三人に囲まれて腕を捕まれる。
怖い‼
恐怖で思わず涙が零れた。
「こいつに触んな」
その声と同時に急に風が吹いて、周りにいた男子が一人廊下に飛ばされた。
状況が飲み込めない。
倒れている男子に驚いていると、他の二人の手が私から離れた。
顔が真っ青で私の後ろの誰かを見ながらだんだん後退っていく。
「死にたくなかったらとっとと失せろ」
「クッ……行くぞ」
それをきっかけに倒れている男子を連れて皆一目散に逃げていった。
辺りはシーンと静まり返る。
見なくても声でわかる、彼が私を助けてくれた。
昔助けてくれたみたいに。



