「……まだ視線が気になる」
颯が屋上へと消えてしまい、私は理乃と教室へ向かっていた。
「仕方ないよ。彼氏がモテるんだから」
同情の目を私に向ける理乃に肩を叩かれる。
それは私も思う。
「でも羨ましい。大事にされてるの見ててわかるもん」
「そうなの?」
理乃に言われて考えた。
人からもわかるくらい違うのかな?って。
「前に比べて雰囲気っていうのかな?莉子の前ではやわらかくなった」
「……そうなんだ」
素直に嬉しかった。
自分では全然気づかなかったけど、周りからはそんな風に見えるんだ。
私はその分の気持ちを返せているのかな。
優しさに甘えてるだけじゃなくて私も何かを与えてあげたい。
必要とされる存在でいたいんだ。
「私、颯の所に行ってくる!」
「うん。行ってきな」
人目を振り切り、理乃に見送られて私は颯の元へと走った。



