つまらない時は外を見ていれば気も紛れるし、だから窓際の席は私のお気に入りになっていた。


席替えの時なんか窓際の子をなんとか説得して交換してもらったっけ。




夕日で空も赤く染まり、教室にはもう私と理乃しかいない。




「そういえば、莉子いつもこの季節になるとこんな感じだよね」


「うん。私秋が一番大好き」



そんなたわいもない話をしていると、


ーーガラッ


急に教室のドアが開いて二人ともそっちに振り返る。



「あっ、永瀬くん」



入ってきたのは同じクラスの永瀬颯(そう)君。


教室に誰かいるとは思わなかったみたいで、私たちを見て一瞬目を丸くした後いつもの無表情な顔に戻った。



「ど、どうしたの?忘れ物?」



私は不思議に思ったので思い切って聞いてみた。



「あぁ」



永瀬君はそれだけ言って机から自分の教科書を出し教室から出て行った。