いつもは起きるのも辛くて毛布に包まっている冬の朝。
だけど最近はちょっと違って目覚ましよりも早く起きるのが習慣になっていた。
台所ではまな板を叩く包丁の音と湯気、美味しそうな香が漂っている。
その中で私はフライパンを持ちながら鼻歌を歌っていた。
フライパンの中では卵が広がりよい焦げ目を作る。
頃合いに巻いてだし巻き玉子に早変わり。
最後にトマトを入れて二つ分のお弁当箱の蓋を閉めた。
もう一つのは誰の分かって?
それはもちろん……
ーーガチャッ
「おす」
「お、おはよ」
門には颯が待っていた。
傍に寄ると、さり気なく私の左手をとって歩き出す。
これが私たちの日常となっていた。