「……ック、ふぇっ……ッ……」
笑おうと口の端を上げようとしても震えてうまくできなかった。
「夢じゃない」
私に言い聞かせるように呟くと、泣き顔を隠すように私の顔を自分の胸に引き寄せた。
颯の規則正しい心音が私を安心させてくれる。
「……好き。私のこと離さないで」
「約束する」
颯は抱きしめる力を一層強める。
そして約束の証のように私の顎に手を添えて、唇にそっと唇を重ねた。
颯との初キスは涙でしょっぱかったけどとても温かかった。
あの時紙ヒコーキを拾わなかったら、
持ち主が気にならなかったら、
キミのことをこんなにも好きにならなかっただろう。
……でもこの出会いは運命だったんだって信じたい。